No.719 せともの人形・民吉翁
更新日:2021年9月13日
ID番号: 3496
例年ならば9月の第2土日は「せともの祭」です。今年は「第90回」のはずでしたが、昨年に続きコロナ禍のため、人気の大廉売市を始め花火大会やミスせとものの発表などほぼすべての催事が中止となり、代わりにWEB上で「2021せとものフェスティバルオンライン」が開催されました。陶磁器の販売やテーブルコーディネートなどがWEBで行われたほか、せともの活用講座やステージイベントなどの動画配信もありました。
さて、せともの祭では磁祖・加藤民吉翁が祀られている窯神神社で祭礼が行われます。昨年と今年は関係者のみの開催で、関係者の皆さんが「来年こそは!」との思いを強く持たれ「せともの人形・民吉翁」の制作が行われました。窯神神社の例大祭の後、せともの人形の「奉告祭」も行われました。
せともの祭での「せともの人形」はまさに祭りのシンボルであり、人形の飾り付けが祭りの始まりを告げる合図といってよいものでした。以前は祭りの一週間くらい前から5~6カ所に飾ってあったように思います。しかし、この「せともの人形」も人形師の方がご高齢で今回が最後の「作品」となるようです。時代の流れや環境の変化により、これまで歴史を積み上げてきたせともの祭にも大きな変化が求められているように思います。
来年は、磁祖・加藤民吉翁の生誕250年という大きな節目の年です。民吉翁が強い使命感を持ち、遠く九州まで出かけ、磁器製法を取得し瀬戸に広めたことにより、瀬戸のやきもの作りがよみがえりました。しかしながら、時を経て今、地場産業である窯業業界の先行きが不透明となっています。
せともの祭の復活や民吉翁の生誕250年をきっかけとし、陶都瀬戸の復活が望まれています。温故創新の精神で、前に踏み出していこうと思います。
伊藤保德