やきものの話をするとき、「これは酸化(さんか)で焼くと柔らかい感じになるよ」とか「いい色を出すには、還元(かんげん)をかけるタイミングが難しい」等の話が出ます。この酸化、還元焼成についてお話します。

 地球上では、空気の中に2 0 %の酸素(さんそ)が含まれています。従って、空気が存在する状態で焼成すれば、酸化焼成になります。電気の窯は、空気中で焼成しますから必ず酸化焼成になります。

 例えば電気の窯で、酸化鉄(さんかてつ)が2 %くらい含まれた釉(ゆう)を焼成(しょうせい)すると、黄瀬戸(きぜと)のような黄色もしくは淡い茶色に発色します。これが酸化焼成の色です。ところが酸化鉄を同じような割合で含んだ釉を、ガス窯で還元焼成すると、青磁(せいじ)や御深井(おふけ)のような淡青色になります。(写真34 )どうして同じような釉が酸化焼成と還元焼成とで色が異なるのでしょう。表1 のように燃料(ねんりょう)を燃やすには、ある量以上の酸素が必要です。これを完全燃焼(かんぜんねんしょう)といいます。酸素が十分得られないと一酸化炭素(いっさんかたんそ)が生成されます。このような燃焼を不完全燃焼(ふかんぜんねんしょう)といいます。ちょっと乱暴な例えですが、落ち葉を燃やすとき風が入って炎が勢いよく出ているような状態が完全燃焼で二酸化炭素(にさんかたんそ)が出ています。空気が足りなくて黒い煙がもくもくと出ているような状態が不完全燃焼で一酸化炭素が出ています。

 不完全燃焼により一酸化炭素が生成されると、表2 のように釉中の酸化鉄(3 )は、酸素を奪われ酸化鉄(2 )になります。酸化鉄(3)は釉に熔けると黄色から茶色になりますが、酸化鉄(2 )は熔けると青から緑色になります。これが酸化焼成で黄瀬戸の色を、還元焼成では青磁や御深井の色を作る理由です。

 酸化銅、酸化マンガン、酸化ニッケル等も酸化鉄と同じように、酸化焼成と還元焼成とでは色が異なるためおもしろい釉を作ることができます。
▲左:黄瀬戸(酸化)
▲右:御深井(還元)
(写真34 )

●表1 完全燃焼・不完全燃焼と一酸化炭素(CO )の生成 (『釉薬基礎ノート』より)
●表2 一酸化炭素(CO )による還元反応と釉中の鉄、銅の色(『釉薬基礎ノート』より)