瀬戸市公共的団体による防犯カメラの設置及び利用に関するガイドライン
はじめに
瀬戸市では、市民生活の安全の確保と住みよい地域社会の実現を目指して、平成10年3月に、瀬戸市安全で住みよいまちづくり条例(平成10年瀬戸市条例第7号)を施行しました。そして各地域では、この条例の制定を契機に、自主的な防犯活動に熱心に取り組んでいるところです。昨年末に実施したアンケート調査では、瀬戸市の治安について「良い」と答えた人は全体の1割程度でありました。また、この数年間の瀬戸市の治安については、「悪くなった」「どちらかというと悪くなった」と答えた人の割合が、「良くなった」「どちらかというと良くなった」と答えた人の割合を上回る結果となっています。特にひったくり、車上ねらい、自転車盗などの街頭犯罪又は空き巣や振り込め詐欺などの身近な犯罪の増加に不安を感じている市民が多く、体感治安の悪化が憂慮されております。
犯罪を防止し、治安を回復するためには、防犯意識の高揚と地域住民が、警察、行政等と連携・協働して日常的にパトロールや声かけ活動を行うといった地域力による安全・安心なまちづくり活動を行うことが重要であるとともに、防犯を目的とする環境の整備が必要であります。
犯罪が起きにくい環境をつくるために、防犯カメラを設置することは、有効な施策といえます。防犯カメラの効果は、犯人の犯行の機会を失くすだけではなく、「地域の安全は自分たちで守る。」との住民意識が高まり、犯罪を許さない気運が醸成されることが期待されます。さらには、地域の連帯感や絆が強まり、防犯力の向上にもつながると考えられます。 また、一方では、防犯カメラの誤った運用により、記録された画像が外部に流出し、他の目的で利用されるのではないかという不安を抱く市民も少なくはな
く、その取扱いには十分留意する必要があります。こうしたことから、瀬戸市生活安全推進協議会等において検討を重ねた結果、公共空間の安全を見守る防犯カメラについて、「犯罪抑止効果」と「市民のプライバシーの保護」との調和を目的に、その設置及び利用に関するガイドラインを定めることとしましたので、防犯カメラの設置者におかれましては、このガイドラインを参考に、それぞれの設置目的や利用形態に合わせて、必要な事項を追加するなど、適正な管理に努めてください。
平成23年6月 瀬戸市長
瀬戸市公共的団体による防犯カメラの設置及び利用に関するガイドライン
1 目的
このガイドラインは、防犯カメラによる犯罪防止への有用性と市民の容貌や行動をみだりに撮影されないなどプライバシーの保護との調和を旨に、地域の公共的団体が、市内の公共空間を対象とした防犯カメラを設置及び利用するに当たっての留意すべき事項を定め、その適切な運用を図ることを目的とする。
2 定義
(1)防犯カメラ
犯罪の防止を目的として、特定の場所に継続的に設置されるカメラで、かつ、画像を撮影し、記録する機能を有するものをいう。
(2)公共的団体
自治会、町内会、防犯協会、商店街振興組合その他の団体をいう。
(3)公共空間
道路、商店街、公園、広場、駅の連絡通路及び駐輪場など誰もが自由に利用又は通行できる空間をいう。
(4)画像
防犯カメラにより撮影又は記録されたものであって、それによって特定の個人を識別することができるものをいう。
3 管理体制
(1)管理責任者の指定
市内の公共空間に防犯カメラを設置及び利用しようとする公共的団体(以下「設置者」という。)は、 その適切な管理を図るため、防犯カメラの管理責任者を指定するものとする。
(2) 取扱者の指定
管理責任者は、防犯カメラ、モニター又は記録装置を設置する場合は、その機器の操作や画像の視聴を行う取扱者を指定するものとする。この場合、取扱者は、原則として、管理責任者とは別の者を指定し、管理責任者及び指定された取扱者以外による機器の操作や画像の視聴を禁止する。
4 防犯カメラの設置及び利用
(1)設置及び利用の制限
設置者は、防犯カメラの設置及び利用に当たって、犯罪の防止効果を高めるとともに、不必要な個人の画像の撮影を防ぐために、設置箇所及び撮影範囲を必要最小限に定めるものとし、みだりに特定の個人又は物を遠隔操作等で継続して追跡的撮影を行わないものとする。
(2)設置及び利用の明示
設置者は、防犯カメラの設置及び利用に当たって、設置区域の入口やその区域内の見えやすい場所に、防犯カメラを設置していること及び設置者名を明示するものとする。
(3)設置の許可
設置に当たっては、防犯カメラを設置しようとする公共空間の管理者の許可を得ること。
5 画像の取扱い
(1)秘密の保持
設置者、管理責任者及び取扱者(以下「設置者等」という。)は、防犯カメラの画像から知り得た情報をみだりに他に漏らし、又は不当な目的のために使用してはならない。また、設置者等でなくなった後においても同様とする。
(2)画像の利用及び提供の制限
ア 設置者等は、画像を設置目的以外の目的に利用し、又は提供しないものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りではない。
(ア)法令に基づく手続により照会等を受けた場合
(イ)捜査機関から犯罪捜査の目的により要請を受けた場合。ただし、捜査機関が画像の提出を求める場合は文書による。
(ウ)個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ない場合
(エ)本人の同意がある場合
(オ)本人の請求に基づき、本人に提供する場合
イ アのいずれかに該当する場合は、管理上必要な事項を記録すること。
(3)画像の適正管理
設置者等は、画像の漏えい、滅失、き損、流出及び改ざんの防止その他の画像の適正な管理のために次の点に留意し、必要な措置を講ずるものとする。
(ア)画像を保存する場合には、当該画像を加工してはならない。
(イ)画像の記録された媒体(DVD、ハードディスク等をいう。以下同じ。)は、防犯カメラの設置者等があらかじめ定めた防護された場所又は施錠設備のある強固な金属製ボックス内に収納して厳重に管理し、(2)で定める場合を除き、外部への持ち出しをしてはならない。
(ウ)画像の保存期間は、法令に基づく手続により照会を受けた場合などを除き、原則として、最大1か月以内の必要最小限度の期間とする。
(エ)画像は、(ウ)に定める保存期間が終了した後、直ちに消去する。
(オ)画像の記録された媒体を廃棄する場合は、読み取りが物理的に行えないよう、破砕、裁断等の処理又は当該記録媒体に記録された画像を復元不可能な方法により消去する。
6 苦情等の処理
設置者等は、当該防犯カメラの設置及び利用に関する苦情や問い合わせを受けたときは、適切かつ迅速な対応に努めるものとする。
7 個人情報の保護に関する法律の遵守
防犯カメラにより撮影又は記録された画像は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の個人情報に該当する可能性があることから、公共的団体が個人情報を取り扱う場合は、このガイドラインのほか、同法の規定に基づき、適正に取り扱うものとする。
8 運用要領の策定
設置者は、防犯カメラの設置及び利用が適正なものとなるよう、このガイドラインの「1」から「7」に基づいて運用要領を策定するものとする。
9 取扱いの周知徹底
設置者は、管理責任者及び取扱者に対して、このガイドライン及び自ら定める運用要領において、画像の適正な取扱いについての周知徹底を図るとともに、定期的かつ必要に応じて研修会を実施するなど適正な指導を行うものとする。
10 業務の委託
設置者は、防犯カメラの管理業務を委託する場合は、このガイドライン及び自ら定める運用要領の遵守を委託条件にするなど、受託者において防犯カメラの適切な運用が行われるように努めなければならない。
資料
瀬戸市公共的団体による防犯カメラの設置及び利用に関するガイドライン(226KBytes)
防犯カメラの運用要領(参考例).doc(39.5KBytes)